伝染病の樹木1000本伐採へ 「ナラ枯れ」千葉県内で急拡大 “特効薬”なし、対応苦慮

『虫が菌を媒介することによって広葉樹が枯れる樹木の伝染病「ナラ枯れ」被害が県内で拡大している。千葉市は本年度、市内の公園などでナラ枯れ被害木を約1300本確認。被害樹木は倒れる危険があるため、1億円以上をかけて約千本を伐採することを決めた。県も伐採を始めているが、拡大予防の“特効薬”がない上、国の補助事業も利用しづらく苦慮している。』
~今朝の千葉日報から。

https://www.chibanippo.co.jp/news/national/1018162

おはようございます。

朝刊からSDGsのヒントを見つける、今日は「ナラ枯れ」です。

ナラ枯れ被害は千葉県だけでなくほぼ全国に拡大しています。
このナラ枯れは、カシノナガキクイムシという5ミリ程の昆虫が原因です。
この虫が千葉県の森林によく見られるコナラ、クヌギ、マテバシイなどの幹に穴をあけて内部に侵入して卵を産みつけます。その際にナラ菌というカビと酵母菌を樹の中に持ち込みます。
ナラ菌は樹を腐らせる役割、酵母菌をそこで繁殖させ、幼虫が生まれたあとの餌にします。

よく考えられているというか、自然ってすごいなと感心させられる理にかなった子孫を増やす仕組みになっています。

カシノナガキクイムシが侵入された樹はナラ菌に犯され、やがて枯れてしまいます。
ちなみに枯れてしまった樹はカシノナガキクイムシにとっては用済み。健康な別の樹を目指し移動します。そのため樹の被害がじわじわと拡大していくことになります。

現在、予防や対策とされている方法では被害の拡大は食い止められていません。
食い尽くされるのを待つだけなのかもしれない・・

カシノナガキクイムシは突然発生した虫ではありません。
もともと人とカシノナガキクイムシは共存していたようです。

カシノナガキクイムシが選ぶ繁殖樹は主に高齢化した樹。樹液量が多い若い樹は避けるようです。
まだ薪が生活に欠かせなかった頃、高齢化した樹は伐採されとても少なく、カシノナガキクイムシにとっては住み良い環境ではなかったようです。

ガスや電気が普及するに従って、薪の需要は減っていきました。
そうなると伐採されていたはずの高齢化した樹やこれから伐採されるであろう若い樹はそのまま放置されることになります。
やがて手入れされない樹は成長、人が踏みいらなくなれば雑木林化、ますます人が踏み入ることがなくなります。

カシノナガキクイムシにとっては最高の繁殖環境が整ったというわけです。
増えるのは自然の成り行きと言えます。
で、被害が目につくようになり、今慌てて対処療法を施しています。が、特効薬的なものはなく、人手も予算もない自治体は困り果てている、という構図になっています。
 

同じようなものを思い浮かべてしまいます。

 
大量生産されている腐らないプラスチック

温室効果ガスを出しまくってできる電気や工業製品

経済的格差が拡大した結果、救いきれない弱者が増えている

皆同じ。ツケが回っています。
考えさせられます。

とはいえ昔の生活に戻ることもできないわけで・・。
難しいですね。
 

企業文化も長い期間を経て醸成されます。
経営者の思考、行動規範、もちろん外的な要因も影響します。
企業にとってツケが回るような行動は避けたいわけですが、これから企業文化を作っていこうというところはSDGsを絡ませてもいいかもしれませんね。

SDGsには17の目標があり、拡大解釈をすれば行動内容は限りなく広がります。
企業文化に組み込みたくなるような要素はたくさん見いだせると思います。

もし取り組みを始めたい、となったらお気軽にお声掛けを。

ではまた。


参考

サントリー│ナラ枯れ対策
https://www.suntory.co.jp/eco/forest/protect/naragare.html

東北森林管理局│カシノナガキクイムシ
https://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/syo/asahi/siryou/kasinaga.html