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地方創生の一環として広まるSDGs活動。 地域社会への後方支援や課題解決に力を注ぐ三井住友海上火災保険

損害保険会社として、事故や災害をはじめとしたリスクを引き受け、またリスク抑制のため、要因となる社会課題の解決に注力する三井住友海上火災保険株式会社。「サステナビリティの考え方」に基づき活動を起こすことが、SDGsの方向性と一致。「SDGsを経営の道しるべ」にするべく、社員に理解、浸透させてきた。地域に何ができるのかをそれぞれの社員が考え、リードしていくことを重要課題とし、地域の持続性や活性化に取り組んでいる。

官民一体の連携で課題解決を目指しSDGsの一歩先へ

三井住友海上火災保険・千葉支店千葉第一支社では、社員・スタッフのSDGsの理解が進み浸透している。次のステップとして、千葉の未来のために何ができるかが課題だ。千葉県は都に隣接し、中小企業が中心の土地柄。一方で2019年の台風被害や八街市の交通事故(2021年)など、大きな災害や事故も後を絶たない。同社はそれを踏まえ自社の価値を見出し、持続性のある考えを提案しブラッシュアップしていく。「地域のことを学び、課題を把握して、どう解決できるかを常に模索していくことが重要」と井上賢一千葉支店長は話す。

それには官民一体で連携し、同じ目標を持ち、地域のためにという合意ができる強いパートナーシップが必要だ。「我々には知見があり、商工団体には組織力、行政はリーダーシップがあるので、お互いの機能を補完し合う仕組みを作っていく」のが同社の任務。
具体的な方法として意欲的に取り組んでいるのが、中小企業や県内の自治体、商工団体と手を組み開催するセミナーとワークショップだ。

「SDGsと業務とのつながりがよく分からない」「この活動の先に何があるのかが見えない」という経営者はまだ多い。「セミナーで全体の理解を深め、SDGs経営の気づきを得てもらう。ワークショップで考え方や進め方を身につければ、経営者の方は、自社の業務と結びつけ動線を引ける。そして付加価値を創造し成長していけます。従業員の方々は自分の仕事の意義や誇り、目的を得て、新しい商品やサービス、アイディアを考える意欲や刺激が生まれる。SDGsはそういった企業の健全なエナジードリンクになります」と、同社は企業や自治体にSDGsとともに伴走していく意気込みだ。 

地域社会と密接につながり、イノベーションを起こす仕組みを作る

SDGsの適切な理解とネクストアクションを、できる限り早いスピードで広げていくには、自社の活動や人材だけでは限界がある。そこで重要なのが、「SDGs普及人材育成」だ。各地域に根差した同社のパートナー代理店が、SDGs経営を広める機能を実装することにより、地元ならではの目線でSDGs経営を育む枠組みができてくる。今後は、そういった担い手を増やしていくことに力を入れていくという。

さらに、地域の課題を解決するためには、新しい技術を取り入れたソリューションを開発していくことだと同社は考える。台風がきても影響を最小限に抑える。被害にあっても影響を受けた後に立ち上がりを早くするための手助けをする。そうした先導的な役割を担うことも強いミッションとして臨んでいる。同社の知見や経験を届けていくとともに、デジタルをうまく活用していくことが今後のキーとなる。

千葉県は首都圏でもあり、自然豊かな恵まれた土地だ。そこに企業や行政がSDGsの種を振り撒くとイノベーションが生まれる。経済や人口の活性化、産業・農業の進化など、結果として千葉の価値が上がってくるだろう。企業や県民によるSDGsの理解が深まり、自分のやりたいことに溶かし込んで行動することがスタンダードになることが理想だ。「千葉県に住みたい、千葉県の企業に就職したい、と必然的に人が集まり、住みがいも働きがいも両輪が揃う。そういう県にしていくことが究極の目標」と井上支店長。
同社の取り組みは、SDGsで描く未来を見据えている。