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企業内の課題解決へのリアリティを体験 協同工芸社が促進する将来を見据えたインターンシップ制度

世の中で何が求められているか? 何が必要なのか?を常に追求している「ものづくり」企業・協同工芸社。持続可能なものづくりのためには、地域と共生し、活力を与えあうような企業活動が必要と考え、社会貢献やSDGsに力を注ぐ。なかでもインターンシップ制度などをはじめとした大学生との関わりは深く、将来を見据えた「質の高い教育」や「働きがい」を創出する取り組みを行っている。

課題解決に必要なスキルや考え方を養うインターンシップ

協同工芸社では、デザインに大切なのは「問題解決の手段である」ことと「対人力」であると考え、人との対話を通じて形にすることを重要視している。その代表的な取り組みが、大学生を対象にしたインターンシップ制度だ。

自社の採用目的を手放し「学生が役に立つことを」を第一に考えた制度として注目を集めている。「ものづくりインターンシップ」では、看板が出来るまでの全工程を経験しながら、最終的に自分のマイ看板を作って完成させる。さらに「セールスプランナーインターンシップ」では、看板営業の疑似体験をする。

同社のこの取り組みで、特に心がけているのが「リアリティ」だ。ここ数年増えている「課題解決型の授業」を意識したもので、実際に社内での課題を公開し、学生に一緒に考えてもらう。「会社ではこうした問題があり、そのために必要な技術や考え方が求められているんだと肌で感じてもらいたい」と人事を担当する吉岡和重氏。「大学の授業は単位を取るためだけではなく、将来の社会に役立つ知識やスキルを身に着けるためという気づきを得て欲しい」と期待を込める。

企業が何を求めているのかは机上だけでは知り得ることはできない。同社のインターンシップを通じて何を学ぶべきかが明確になると学生からの満足度は高い。とはいえ、インターンシップ制度と自社の採用は直結していないと吉岡氏は話す。それでもこの取り組みを続ける理由は「社会貢献につながる」からだ。

次世代につなげるSDGsへの取り組みに意欲

SDGsを次世代へつなげる様々なプロジェクトも立ち上げている。製造過程で生まれる端材を提供し、大学生がチームを作って作品を完成させる「watashi-PROJECT」。自分たちの作品作りだけではなく、子どもたちを招待し、どういうものづくりの経験をさせるかを学生自らが考えるイベントだ。

また、「TOHO WALL ARTS PROJECT」にも参画。東邦大学習志野キャンパスの正面工事のため設置された仮囲い壁を利用して、企業や自治体のSDGsの取り組みを学生がウォールアートとして作成するプロジェクト。メディアにも数多く取り上げられ、SDGsを地域に周知させることにも貢献した。

東邦大で非常勤講師も務める吉岡氏は、谷津干潟を守る活動や田んぼの保全活動など、学生主導で行う環境プロジェクトの立ち上げ方や実務のプロセスなどのアドバイスを行っている。吉岡氏は「最近の学生の環境に対する関心度は高い」と感心する。

SDGsの教育を受けてきたいわゆる‘ネイティブ世代’は、今後社会に出てまちづくり、人づくり、環境づくりに大きく関わっていくはずだ。そうした意味で、学生の質の高い学びを育てていく同社の取り組みは、間違いなく持続可能な未来の一旦を担っていると言えるだろう。

*現在コロナ禍のため「インターンシップ制度」や「watashi-PROJECT」の内容は変更する可能性があります。