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SDGsは「お互い様の気持ち」 市原商工会議所がSDGs推進に取り組む理由

地域事業者のSDGsの取り組みを加速させようと、市原商工会議所は支援体制を充実させてきた。根底にあるのは、SDGsは「お互い様の気持ち」という理念だ。市原市とも連携しながら、地域経済の新たなあり方を模索している。

会員企業にSDGsへの「気づき」を促す

市原商工会議所は2021年、三井住友海上と包括提携を結び、SDGsを含めた事業者支援の枠組みを構築。職員がワークショップを行い、日々の業務で実はすでに取り組んでいるSDGsの活動もあること、逆に資料印刷などで紙資源を無駄にしていることなど、さまざまな「気づき」を得た。

こうした「気づき」を今度は会員企業にも広めようと、先行してSDGsに取り組む企業を含めたチームをつくった。今年度は意欲のある事業者に向けて参加を働きかけ、まずは自社事業におけるSDGsへの「気づき」を促していく。

「ただ儲ける」では消費者に相手にされない?

市原商工会議所がSDGsを推進する背景には、「ただ経済優先で儲かればいいではダメ。モラルや良心が事業経営にもないと消費者や社会から相手にされなくなる」(榊原義久会頭)との危機感があるからだ。

例えば、自宅兼店舗で商売をしている場合、事業ゴミと家庭ゴミを分けないで出せてしまうが、社会にSDGsの考え方が浸透すれば、そうした事業者は消費者から選ばれなくなる可能性が出てくる。「会員企業の皆さんにも早くこうしたことに気付いていただき、一緒に取り組みを進めていかないといけない」(同)。

地元市原市は、千葉県内初の「SDGs未来都市」に認定されるなど、SDGs推進に積極的だ。こうした動きと連動しながら「お互い様の気持ちで助け合い、持続可能な会社が残っていく、そういうビジネスをやっていこうという方向に持っていきたい」と榊原会頭は語る。SDGsを「お互い様の気持ち」に読み替え、地域経済が持続的に発展していく将来を描く。こうした市原商工会議所の考え方は、地域経済のあり方に新たな一石を投じるだろう。